銀座路地「出世街道」:渡辺木版美術画廊さんに聞いた歴史と現在

銀座の隠れた名所「出世街道」

東京の中心地、銀座8丁目にひっそりと存在する「出世街道」と呼ばれる路地があります。

見番通りと並木通りを結ぶこの小道の並木通り側の角には、版画専門店「渡辺木版美術画廊」があります。

明治42年(1909年)創業のこの画廊は、浮世絵版画(喜多川歌麿や歌川広重など)や大正新版画(川瀬巴水や伊東深水など)を取り扱うことで広く知られています。

今回は、この歴史ある「渡辺木版美術画廊」にインタビューを行い、「出世街道」の歴史と現在について詳しく伺いました。

 

営業情報/アクセス

 

株式会社 渡邊木版美術画舗
所在地 〒104-0061 東京都中央区銀座8-6-19
TEL 03-3571-4684
FAX 03-3572-8887
E-mail s.watanabe@hangasw.com

営業時間 月~土 11:00~18:30 / 祝日 11:00~17:00
(2023年6月24日(土)臨時休業)
定休日 日曜日

出世街道の起源:東京のパワースポット

「出世街道」という名前は、かつての日本の政治家、故田中角栄氏に由来します。

田中氏が若手議員時代、銀座界隈で飲食を楽しんでいた際、急ぎ国会に呼ばれた際にこの路地を通り抜けて駆け付けたという逸話があります。

このエピソードから、田中氏が議員から総理大臣にまで昇進したこと、そしてこの路地から国会議事堂までの道が次第に広がり続く様子が「出世」を象徴していることから、「出世街道」と呼ばれるようになりました。

この話は、「角さんまた呼ばれて走って行ったよ!」代々、銀座の街で語り継がれ、銀座の街全体に広まり、現代に至るまで語り継がれています。

※神楽坂にもそういった逸話があるとのこと

路地の所有権と管理

この「出世街道」は実は私有地であり、隣接する建物のオーナーたちのご好意により、一般の通行が許可されています。

銀座は古くからこのような路地が多数存在し、出世街道もその一つとして地域コミュニティによって大切に守られてきました。

現在でも、オーナーたちが自発的に清掃やメンテナンスを行っており、この歴史ある路地を保全しています。

出世街道ギャラリーの誕生

意外にも「出世街道」という名前が全国的に知られるようになったのは、2011年に「出世街道ギャラリー」が誕生したことがきっかけです。

このギャラリーの設立は、これまで倉庫として利用してきた隣接施設1階をギャラリーにしたもので、画舗とギャラリーの間の小路が通称「出世街道」と呼ばれることにちなんで、ギャラリー名は「美術を目指す人々が、ここから出世してもらえれば」(代表の渡邊章一郎さん)との思いで命名されました。

施設面積は約4坪で、天井高2メートル、奥行き5メートル、幅1メートル40センチの細長いスペースです。

白壁のシンプルな内装で、版画、写真、絵画、陶芸など幅広い作品に向けた貸しギャラリーとして営業し、画舗で扱う作家を中心にした展示も行っています。

入り口隣のシャッターには、木版画家の染谷ひさおさんが楽器を手にした人々をペイントしています。

また、東日本大震災の直後であり、当時は路地に空き家が多く、現在のように賑わう場所ではありませんでした。

しかし、ギャラリーの開設により、この名前が広まり、テレビやメディアの取材を受けることで全国に知れ渡りました。

その結果、空いていたテナントに次々とお店が入居し、現在のような賑わいを見せるようになったのです。

出世街道に並ぶ名店

魁[さきがけ]/ 東京・銀座

「魁」は、銀座の地で心と体に優しい料理を提供するお店です。オーナーの優しい気遣いと愛情が伝わるこの店では、特にお出汁がしみ込んだおでんが絶品です。夜遅くまで営業しており、飲み疲れた体にも優しいメニューが揃っています。シャンパーニュとの相性も抜群で、おでんを楽しみながらシャンパーニュを飲む贅沢な時間を過ごせます。また、香川県から直送される減塩された特別なうどんも提供しており、健康志向の大人たちにも人気です。

メニューの一例

  • おでん:大根、竹の子、ちくわ、こんにゃく、はまぐり、車麩、豚足など、多彩な具材が揃います。
  • 特製うどん:ホルモン(牛の小腸)と九条葱をたっぷり入れた贅沢なうどん。
  • シャンパーニュ:KRUGをはじめとする上質なシャンパーニュ。
営業情報/アクセス

◆ 魁[さきがけ]

住所/東京都中央区銀座8-6-9 田中ビル 1F
営業時間/18:00~翌5:00(L.O.翌3:30)
定休日/日曜日、祝日
お問い合わせ/☎03-3573-5226
※土曜は18:00~24:00(L.O.23:00)

Cashe Cashe[カシュカシュ]/ 東京・銀座

「カシュカシュ」は、銀座の路地にひっそりと佇むビストロです。斎木辰也オーナーシェフがアピシウスでの14年の修業を経て1998年にオープンしました。店名はフランス語で「隠れんぼ」を意味し、狭い路地に隠れるように位置しています。カウンター4席とテーブル4卓の小さな店内は、リピーターが多く訪れる人気店です。斎木シェフは日本やアジア各国から厳選された食材を使用し、無農薬野菜など安全と鮮度にこだわった料理を提供しています。

メニューの一例

  • 10種類の野菜と6種類の魚介のサラダ:凝縮レモンとオリーブオイルでヘルシーにいただけます。
  • カリフラワー・ムースのコンソメジュレと雲丹添え:シャンパーニュとの相性抜群です。
  • アグー豚のヒレカツサンド:テイクアウトメニューとしても人気です。
営業情報/アクセス

◆ Cashe Cashe[カシュカシュ]

住所/東京都中央区銀座8-6-19 渡辺ビル 1F
営業時間/12:00〜13:00(L.O.)、18:00〜23:30(L.O.)
定休日/日・祝休(ランチは月休)
お問い合わせ/☎03-3573-0488
※土曜は、昼〜13:30(L.O.)、夜〜20:30(L.O.)

Regal[レガル]/ 東京・銀座

「レガル」は、並木通りから出世街道に入った一番奥に位置する洋食屋です。アイアンのデコレーションが特徴的で、昔ながらの雰囲気が漂う店内は、ワインセラーが壁一面に広がり、ワインラヴァーにとっての楽園です。1階はカウンター9席のみで、2階には予約必須のVIPルームがあり、カラオケも楽しめます。シェフの西澤健二氏は那須高原の二期リゾートでの経験を活かし、シンプルで気の利いたメニューを提供しています。

メニューの一例

  • 生牡蠣とシャンパーニュ:ハーフカットにした牡蠣をオリーブオイルと胡椒、レモンで楽しめます。
  • 黒毛和牛ヒレ肉のレアステーキと無花果:A5ランクの和牛を使用した贅沢な一品。
  • イサキのカルパッチョ:新玉葱と胡瓜を添えてさっぱりといただけます。

 

営業情報/アクセス

◆ Regal[レガル]

住所/東京都中央区銀座8-6-9
営業時間/18:00〜翌4:00(L.O.翌3:00)※土曜は〜23:00(L.O.22:00)
定休日/日曜日、祝日
お問い合わせ/☎03-5537-0351

 

出世街道を訪れて

銀座の「出世街道」には、歴史と現代が交錯する魅力的な空間が広がっています。

これらの名店を訪れることで、銀座の奥深い歴史と文化を感じることができるでしょう。

ぜひ一度足を運んで、この特別な場所での時間を楽しんでみてください。

記事監修者

鉢嶺祐矢

銀座のナイトワーク業界で一線を画す存在として知られる株式会社ZENNO GROUPの代表取締役。銀座の高級クラブで14年間にわたり黒服として活躍し、その経験をもとに業界向けのさまざまなサービスを提供。非効率な業務体系を改善するため、株式会社ZENNO GROUPを創業し、業界の発展に貢献している。

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Writing:supported by Research Online